全国の「道の駅」を愛車のランドクルーザーで巡り、今もマラソン大会に出場しながら、週3日で現場の安全を守る。
定年退職から20年を迎えても、「生涯現役」を掲げて働き続けるパソナマスターズのタレントさんがいます。山本 郁夫さん(79歳)です。
現在のお仕事と活動内容
現在は、大手鉄鋼メーカーで機械整備に関わる安全管理の仕事を、週3日・期間限定で担当されています。その前は化学プラント関連のメーカーで安全管理責任者を務めるなど、定年後長年にわたり一貫して「安全」のプロフェッショナルとして活躍されてきました。
キャリアのスタートは、大手鉄鋼メーカーでの機械オペレーター。大手鉄鋼メーカーが長く、その後は大手建設会社への派遣をきっかけに安全管理の道へ。定年退職後も途切れることなく、20年間、2か月以上のブランクなく現場に立ち続けているといいます。
「同じ『安全管理』の仕事なので、会社が変わっても抵抗感はありません。むしろ、前の会社での経験や工夫は、必ず次の会社で活かせるんです」
印象的なのは、「言われて資格を取ったことはない」という言葉。
前回の派遣先だった会社で、周囲の方が持っている資格を見て「自分にも必要だ」と感じ、次の派遣就業前に自主的に取得されたそうです。
「常にスキルアップ。人の仕事ぶりを見て『あの人みたいになりたい』と思ったら、自分から勉強する。そういう姿勢はずっと大事にしています」
キャリアの転機になった「鉄」と「化学」
18歳で入社した頃は、化学プラントのような機械にも触れる機会があり、「鉄と化学は似て異なる」と感じていたそうです。その後、鉄鋼の現場から化学の現場へとフィールドを広げていきました。
「鉄から化学への道を、自分で切り開いた感覚があります。分野は違っても、機械や安全の基本はつながっている。そこで培った経験が今の自分の土台になっています」
その背景にあったのが、子どものころから耳にしてきた「生涯現役」という言葉。警察官だったお父様が、折に触れて話してくれたその言葉が、長く働き続ける原動力になっています。
「働くこと」は、すべての好循環の源
年齢を重ねる中で、「働くこと」の意味はどのように変化していったのでしょうか。
「働くということは、すべてのものの好循環になる源だと思います。
一番の精神安定剤ですね。家庭も円満になるし、自分も笑顔でいられる。元気であれば遊びにもつながる。全部がつながっているんです」
働くことで生活リズムも整い、健康にも良い影響があると言います。
「働いているから、ご飯が美味しい。働いているから、遊びも楽しい。
いつの間にか早寝早起きになって、いつも心は『晴れ』ですね」
また、年齢を重ねたからこそ見えてくるものもあるそうです。
「なんでもないようなことに、感動できるようになりました。一緒に働く人の仕事ひとつとっても、ほれぼれするんです。当たり前に見えることでも、実は簡単じゃない。そこをきちんと理解して、言葉にしてほめる。そういうことができるのが、我々年配者の役割じゃないかと思っています」
実際に、現場では「地味に見えるけれど欠かせない仕事」をしている方をよく観察し、本人にしっかり伝えるようにしているそうです。
「頑張りを言葉にして伝えると、本人も喜ぶし、周りの見る目も変わる。
上司もちゃんと見ていて、『また来てほしい』と言っていただけたこともあります」
安全管理の仕事については、次のように語ってくれました。
「事故を未然に防止するのが自分の仕事です。でも、ただ注意や指摘をするだけではなく、現場の人に納得してもらうことが大切。
そのためには、まず信用される人間であること。自分は相手を見ていますが、相手も自分を見ていますからね」
健康維持の工夫:マラソン、ウォーキング、登山、薬草…
健康面での工夫をうかがうと、「働くことそのものが健康づくり」と言い切ります。

「笑顔が出るような生活をすること。働くこと自体が健康につながっていると思います。
新しいことを覚えると知識が増えて、それが楽しい。学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知だったかを知ります。
知らないことを知れるのは、働き続けているからこそだと思いますね」
日々の習慣も徹底しています。
・毎日5~6kmのウォーキング(雨の日も風の日も)
・OB会の登山クラブでの登山
・3ヶ月に一度の定期検診(成人病予防のための健康管理)
・状態に応じて、運動量を調整
さらに、趣味の散歩・登山がきっかけで「薬草コーディネーター」の資格も取得。薬膳酒づくりも楽しんでいるそうです。
「散歩をしていると、四季の移り変わりがよく分かるんです。それが楽しくて。
そこから薬草に興味を持って、本を読みながら学びました。散歩から世界が広がりましたね」
まさに、仕事と健康づくり、趣味が一体となった毎日を送っています。
「道の駅」全国制覇への挑戦
もう一つの大きなライフワークが、「全国道の駅めぐり」です。

全国に約1,200ある道の駅のうち、すでに約800を制覇。
東北・北陸・関東・中部は完走済みで、現在は近畿地方を走破中です(福井・滋賀は完了)。今年は「梅の和歌山」「桜の奈良」をテーマに春のドライブを計画中とのこと。
「3.11の東日本大震災のあと、海岸線を自分の目で見て回ったのがきっかけでした。
自分は生かされている。その思いを忘れずに、社会や地域と仲良くやっていきたいですね」
長距離運転で特に大事にしているのは、「気をつける」だけではなく、正しい姿勢と正しい運転。
「『気を付けます』じゃダメなんです。
正しい姿勢と正しい運転で、自分の道を走る。正しいことを正しくすれば、無事故・無違反は実現できます。
おかげさまでゴールド免許です。安全運転の基本は、横断者優先ですね」
「生かされている以上、社会とともに」
地域社会との関わりについて伺うと、静かに、しかし力強くこう話されました。
「生かされている以上は、社会・地域とともに仲良くやっていく。
仕事でもプライベートでも、その意識は変わりません」
安全という目に見えにくい価値を守りながら、地域の自然や人との出会いを楽しむ。
その姿からは、「働くこと」「暮らすこと」「社会に関わること」をまるごと楽しんでいる様子が伝わってきます。
同じ世代・これからセカンドキャリアを考える方へ
最後に、これからセカンドキャリアを考える方や、同じ世代の方へのメッセージを伺いました。
「人生一度きりですから、目はらんらんと、笑顔で楽しくいきましょう!」
「よく働き、よく遊ぶ」。
そのシンプルなモットーを軸に、生涯現役で自分らしく働き続ける姿は、多くの方の背中を押してくれるはずです。
